クレジットカードを快適に利用するためには、利用限度額(利用枠)が重要です。
現在の利用明細を確認しないまま利用限度額を使い切ると急にカードが利用できなくなり、店頭で何度決済をしてもエラーになってしまい「支払いはしているはずなのになぜ?」と理由がわからず困ってしまった経験がある人もいるでしょう。
ここでは、クレジットカードの利用限度額(利用枠)の確認方法から限度額の決まり方、限度額の増額方法や増額するリスクについても解説していきます。
目次
クレジットカードの利用限度額(利用枠)とは?
クレジットカードの利用限度額(利用枠やショッピング枠とも言う)とは、カードで利用できる金額の上限です。
例として、利用限度額が100万円の場合は、100万円までは制限なくカードを使えますが、100万円を超えた利用はできません。
利用限度額に達したクレジットカードは使えなくなる
買い物や旅行などクレジットカードを利用する機会は増える一方ですが、知らないうちに利用限度額の上限に達していてカードを使えなくなっていたというケースも出てきます。
100万円以上の利用限度額があればそれほど気にする必要はありませんが、中には10万円程度の利用限度額のカードもあるため、カードの受取時には利用限度額を確認して把握しておきましょう。
「ショッピング枠」と「キャッシング枠」の違い
クレジットカードによっては、買い物や料金の支払いで利用する「ショッピング枠」以外に、お金を借りられる「キャッシング枠」が付帯しているものがあり、それぞれ利用限度額が設定されています。
キャッシング枠はショッピング枠の中にあり、利用限度額いっぱいにショッピング枠を利用した場合はキャッシングを利用することができません。
また、カードの利用限度額=ショッピング枠の上限ですが、ショッピング枠の中に含まれるという特性上、キャッシング枠は少な目です。
その他にも、クレジットカードには割賦利用可能枠があり、こちらはリボ払いや分割払いなどの割賦払いに利用できる枠です。
- ショッピング枠…買い物や代金の支払いに使える枠
- キャッシング枠…お金を借りられる枠
- 割賦利用可能枠…リボ払い・分割払いなどの割賦払いに使える枠
割賦利用可能枠は支払い期間が2か月を超える割賦取引が対象なので、1回払い(一括払い)は含まれません。
「利用限度額」「利用残高」「利用可能額(枠)」の違い
どれも字面が似ているため混同して使われることも多い「利用限度額」「利用残高」「利用可能額(枠)」の違いについて解説します。
各言葉の違いは以下の通りです。
- 「利用限度枠」=カードを利用できる最大金額
- 「利用残高」=利用限度額のうち、現在利用されている金額
- 「利用可能額(枠)=利用限度額から利用残高を引いた、現在決済利用できる金額
「利用限度額」と「利用可能額(枠)」は間違えやすいですが、「利用限度額」はクレジットカードを最大でいくらまで利用できるかという数字で、「利用可能額(枠)」は利用限度額のうち現在いくら利用されていて、残りはあといくら決済利用できるかという数字です。
例えば、利用限度額が100万円で口座引き落とし前の利用額が90万円あった場合、現在の利用可能額(枠)は10万円となります。
クレジットカードの限度額の決まり方
クレジットカードが手元に届いたときに「限度額が思ったより少ない」と感じる人もいれば、「思ったよりも大きい限度額がもらえた」という人もいますよね。
審査通過後、クレジットカードの利用限度額はどうやって決定されているのか詳しく解説していきます。
年収によってカードの限度額が設定される
クレジットカードの限度額に大きな影響を与えるのが「収入(年収)」です。
例えば、楽天カードの限度額も個人差があり、10万円~100万円と開きがあります。
これは、割賦販売法によりカードの入会審査で「支払可能見込額」をチェックすることが義務付けられているためで、支払可能見込額を超えた契約はできません。
支払可能見込額とは、年収から生活費や債務などを差し引いた額のことで、支払可能見込額の計算方法は以下のようになっています。
年間請求予定額(クレジット債務)とは、向こう1年間のクレジット代金の支払い予定額で、翌月1回払いは含まれません。
生活維持費は、収入や生計を同一とする人数(本人や別居者も含む)と、居住形態に応じて以下のように算出されます。
1人 | 2人 | 3人 | 4人以上 | |
---|---|---|---|---|
持家かつ住宅ローン無または持家無かつ賃貸負担無 | 90万円 | 136万円 | 169万円 | 200万円 |
持家かつ住宅ローン有または持家無かつ賃貸負担有 | 116万円 | 177万円 | 209万円 | 240万円 |
※東京都23区等最高値の例
クレジットカードの利用限度額は、支払可能見込額に経済産業大臣が定めた90%の割合を乗じた金額の範囲内となるので、以下の計算式となります。
支払可能見込額(包括支払可能見込額)は、カードの新規申し込みや有効期限の更新、限度額の増枠を申請した際にも調査され、キャッシング枠の審査は貸金業法に基づいて別に行われます。
限度額が30万円以下の場合は支払可能見込額の調査が免除される
例外として、限度額が30万円以下のクレジットカードは、原則として支払可能見込額の調査が免除されます。
クレジットカードの中には限度額が少ないものがあるため、限度額が30万円以下のカードであれば収入なしの学生や専業主婦でも審査に通る可能性があるのです。
また、配偶者や親族に収入があれば合算して支払可能見込額を算定できるので、本来はカードが持てない無収入の方でもカードを申し込むことができます。
過去に支払いトラブルを起こしていると審査に落ちる
支払可能見込額の調査に問題がなくても、支払い履歴で過去のトラブルが発覚すると審査落ちの恐れが出てきます。
これは、CICをはじめとする個人信用情報機関(指定信用情報機関)にクレジットカードやローン・携帯電話の割賦販売の申し込みや契約、支払い状況などの記録が残っているためで、過去に長期間の延滞があった場合や、債務整理や自己破産を行った場合は要注意です。
CICの場合を例に、いわゆる「ブラックリスト入り」となってしまうケースとブラック解消までの期間は以下のようになります。
- 61日以上または3か月以上の延滞…5年
- 債務整理・自己破産…5年〜10年
このようなトラブルがあると、5年間はカードの審査に通らないと考えた方が良いでしょう。
ブラックになるとその後もカード審査に通りづらい状況が続きますが、消費者金融系のクレジットカードなら現在の支払い能力に問題がなければ作れる可能性もあります。
その他にも、家族構成や現在の借り入れ状況、居住形態についても審査でみられ、すでに借り入れがある場合や他にクレジットカードを使っている場合も審査や限度額に影響を与えるため注意が必要です。
利用限度額の確認方法
現在の利用額限度額を確認する方法は電話やアプリなどがありますが、一番簡単な方法はクレジットカードが手元に届いたときに同封されていた書類を確認する方法です。
利用限度額の確認方法は以下です。
- カードの公式サイトから確認
- 公式アプリから確認
- クレジットカードに同封されていた書類を確認する
- 電話で確認
順番に解説していきます。
公式アプリ・公式サイトで確認する
公式アプリや専用サイトの場合は、ログイン後「ご利用状況」や「カード情報」などの項目を開くと「現在の利用限度枠」や「ご利用可能残高」などといった名称で利用限度額を確認できるので利用してみましょう。
カード会社によっては、決済ごとにメールやアプリの通知で決済された情報が届くものもあるので、随時確認できるように設定するのも良いでしょう。
公式アプリや専用サイトは事前に利用設定が必要な場合があるため、済んでいない場合にはログイン方法も含めて一度電話で問い合わせをする必要があります。
同封書類を確認する
クレジットカードが届いたときの封筒を保管してある場合は同封されていた書類を確認しましょう。クレジットカードの番号などの情報と一緒に「利用限度額」の記載があるはずなので金額を確認します。カード会社によって「総利用枠」や「総利用可能額」など表記が少し違う場合もあります。
既に捨ててしまった場合や、紛失している場合は電話か、アプリやサイトを利用して確認しましょう。
電話で確認する
電話の場合はクレジットカードの裏面に記載の電話番号にかけて利用限度額の確認をしましょう。直接オペレーターに繋がる場合や、自動音声の案内に従って進んでいけば金額を確認できる場合もあります。
クレジットカードが手元に準備できない場合はクレジットカードの公式サイトへアクセスして電話番号を確認しましょう。
利用限度額はいつ更新される?
利用限度額に達してクレジットカードが使えなくなっても、支払い日(引き落とし日)に口座から利用代金が引き落とされれば再びカードは使えるようになりますが、注意したいのは引き落とし直後に利用可能額(枠)が復活する訳ではありません。
引き落としが完了してもカード会社による確認が終わるまで利用可能額(枠)は復活しないため、すぐには使う事ができません。
・反映は3〜4日程度かかる場合も
クレジットカード会社によって、口座引き落とし日から引き落とした金額が利用可能額(枠)として反映されるまで数日かかる場合があります。
反映のタイミングは電話や公式サイトのQ&Aなどから確認できますが、反映されるタイミングは3〜4日というような曖昧な記載の場合が多いようです。
カード会社指定の銀行口座から引き落としにすれば反映のタイミングがはやくなることもあるので、反映を急いでいるときは一度確認してみるといいでしょう。
また、カード会社によって締め日と支払い日が異なり、カード利用のタイミングによっては支払い日が2か月近く先になるため、支払い日の直後に大きな買い物をして利用限度額を使い切ってしまうと次の支払い日までカードが使えない恐れも出てきます。
この場合、公共料金や携帯電話の支払いをカード払いで自動引き落としにしていると延滞してしまうので注意しましょう。
支払い方法を分割払いやリボ払いにしている場合は、支払いが完了した分だけ利用枠が復活します。
クレジットカードの利用限度額(利用枠)を上げる方法
クレジットカードの利用限度額を上げる方法について解説していきます。
電話・アプリ・公式サイトから増額申請が可能
利用限度額を簡単に上げる方法は3通りあります。
- 電話で増額申請
- カードの公式サイトから増額申請
- 公式アプリから増額申請
電話の場合
電話の場合は、クレジットカードの裏側に記載されているカードに関する問い合わせ窓口やカスタマーセンターの番号に電話をかけて増額の申請をします。
電話が一番簡単な方法ではありますが、仕事の都合でなかなか営業時間に連絡することができないといった場合や、電話が苦手という方は公式サイトや公式アプリからの申請がいいでしょう。
公式サイト・公式アプリの場合
公式サイトや公式アプリの場合は、利用しているクレジットカードの専用サイトまたはアプリにログインをして、大体の場合は「ご利用可能枠変更のお申込み」という項目が用意されているので、必要事項を入力して増額申請を行います。
「利用限度額を増やすには?」など直接増額申請に進めるQ&Aページがわかりやすく用意されている場合もあります。
カード会社によっては、インターネットからの増額申請が不可な場合もあるので、その場合は電話で申請をする必要があります。
増枠申請には審査がある
増枠申請を行ったあとは、クレジットカード会社側で審査があります。
審査の内容としては、これまでの利用履歴を確認するというものになりますが、この審査に落ちる方も少なからずいます。他のクレジットカードや消費者金融などの返済状況がよくないという状況であれば、増枠申請をしたことをきっかけとして、クレジットカードを強制解約されてしまうというケースもあります。
そのため、増枠申請をするまでに、他社も含めしっかりと利用実績(クレヒス)を積んでおく必要があります。
大きい出費がある場合は一時的に増枠可能
恒久的な増枠申請以外に、大きな出費がある時のために一時的な増枠をお願いするという方法もあり、結婚式費用・引越し費用・出産費用・旅行費用など、目的があって増枠が必要な場合に申請を行います。
申請の方法は、恒久的な増枠と同じく、電話またはWEBからの申請となっていて、使用用途・日時・金額などを聞かれるので、事前に整理してから申請するようにしましょう。
一時的な増枠の申請にも審査がありますが、恒久的な増枠よりも審査は厳しくありませんので、比較的簡単に引き上げを承認してくれるケースが多いです。
審査の時間は、ほとんどが早ければ30分~1時間程度、遅くとも当日中に結果がでますが、急を要するということであればクレジットカード会社にその旨を伝えると、柔軟に対応してくれます。
繰上げ返済して利用可能額(枠)を復活させる
分割払いやリボ払いを利用した際に限度額を早く回復させるには、繰り上げ返済を行うという方法があります。クレジットカードそのものの利用限度額が増えているわけではないのですが、まだ口座引き落としされていない未払いの利用残高を指定の引き落とし日より前に支払いをすることで、利用可能額を復活させる方法です。
カード会社によって繰上げ返済の方法は様々なので、あらかじめ支払い方法は確認が必要です。振り込みやATMなどから繰上げ返済をカード会社が確認すると利用残高が0になり、利用可能額は限度額まで回復します。
ただし、分割払いやリボ払いを利用した場合は、返済が完了した分しか限度額が回復しません。
ゴールドカードなどの上位カードに切り替える
手持ちのカードにゴールドカードなどの上位カードがあれば、カードの切り替えで限度額のアップも狙えます。
ゴールドカードなどの上位カードは一般カードより限度額が高額に設定されているので、カードを増やさずに限度額を上げることも可能です。
■限度額の目安
- 学生向けカード…10万円~30万円
- 一般向けカード…10万円~100万円
- ゴールドカード…100万円~
ただし、ゴールドカードに切り替えたからといって必ず限度額が上がるとは限らないので注意しましょう。
クレジットカードを新しく作る
クレジットカードを複数枚持つことで、カードで使える金額を増やすのがこの方法です。
年会費無料のカードでも高額な限度額が持てる場合があり、例えばライフカードの限度額は10万円~200万円となっていて、収入や信用力によってはゴールドカード並みの限度額を持つことができます。
すでに持っているカードでこれ以上は限度額を増やせないと思われる時にも便利な方法です。
最近では即日発行可能なカードも増えています。「セゾンカード」や「エポスカード」は審査終了後に店頭のカウンターにてカードを受け取ることが可能です。「ACマスターカード」は駅前などにある無人契約機で契約したその場でカードを受け取ることも可能なので、限度額が足りなくて急いでいる場合や、増額申請の審査に不安がある場合にもおすすめの方法です。
利用限度額(利用枠)を上げる際のデメリットやリスク
前述の通り、限度額の増枠を申請した場合の審査でも支払可能見込額の調査が行われます。
この時にローンの残債が多かったり、利用履歴(クレジットヒストリー)に問題が見つかったりすると、限度額が下がってしまったり、最悪の場合はカードの利用停止処分が下ることもあるのです。
その他にも、申し込み時は働いていたものの、現在は無職という方も返済能力に問題があるとされて審査に通らない場合があるので気を付けましょう。
利用限度額を上げる場合は、以下に該当していないかどうかをチェックしてください。
- カード利用が半年未満(継続的な引き上げを希望する場合)
- ローン(他社からの借り入れ)が多い
- 延滞などのトラブルを起こした
- 無職になるなど申し込み時と雇用形態が変わっている
- クレジットカードを強制解約されたことがある
上記の項目に該当する場合は今すぐ限度額の引き上げを行わない方が賢明なので、状況を改善させた上で改めて増枠の申請を行うか、家族にカード利用者がいれば家族カードを作ってもらうなど別の方法を取った方が良いでしょう。