自己破産を起こした事があってもクレジットカードを作りたい、カードローンでお金を借りたいというニーズはあるでしょう。なぜ自己破産を起こすとクレジットカードやカードローンの審査に通らなくなるのでしょうか。
今回は「自己破産とはどういう状態の事?」という人には聞けない基礎知識から、自己破産を起こすと持っているクレジットカードはどうなるか、自己破産後に早く審査通過したい場合のコツについて解説していきます。
目次
自己破産とは?
自己破産とは、借金の返済が不可能になった場合に自らが持つ全ての財産を換金して清算を行い、生活の再建を図るための制度です。
「財産」の中には土地や建物といった不動産や車のほか、預貯金や保険を解約した際に受け取れる返戻金、今後受け取る予定の退職金なども含まれています。
自己破産をするには裁判所に破産の申し立てと免責許可の申し立てを行う必要がありますが、手続きを進めるために必要な費用や財産がない場合は「同時廃止決定」となり、手続きの開始と終了が同時に行われ、手続きを進めるだけの費用があり同時廃止決定とならない場合は、破産管財人が財産の配当を行います。
自己破産を行うと破産者として国が発行する機関誌である「官報」に記載される事になります。免責の許可が下りると破産手続き後に残った債務の支払いを免除され、借金が帳消しの状態となるのです。
なお、破産を行っても戸籍や住民票にその旨が書かれる事はありません。
なぜ自己破産を行うとクレジットカードやローンの審査に通らなくなる?
クレジットカードやカードローンを申し込むと入会審査が行われますが、審査では個人信用情報機関に記録されている信用情報(クレヒス)をチェックされます。
この時に自己破産の記録が残っていてクレヒスに傷がある状態だと返済能力に欠けるとみなされて審査落ちの対象となるのです。
個人信用情報機関とは?
個人信用情報機関とは、クレジットカードやローン、割賦契約を行う企業が会員となっている信用情報機関です。日本国内にある個人信用情報機関はCIC・JICC・KSCの3つで、それぞれ主な加盟会員が異なります。
- CIC…主にカード会社
- JICC…消費者金融やカード会社
- KSC…銀行
個人信用情報機関はネットワークで繋がっている
カード会社によってはCICとJICCの両方など、複数の個人信用情報機関に加盟しているケースがあります。CICとJICCは「FINE」という交流ネットワークで繋がっていて個人信用情報や申し込み情報が共有されているため、カード会社は情報の照会を行う事で申込者の借り入れ総額を把握する事ができます。
また、CIC・JICC・KSCは「CRIN」という交流ネットワークで繋がっていて、延滞に関する記録(異動情報)や本人による申告情報を共有しています。CRINで共有されている項目は本人識別情報・契約内容・支払い状況・申告内容となっています。
すでに持っているクレジットカードはどうなる?
自己破産を行った場合、すでに持っているクレジットカードに債務が残っていると強制解約となります。債務が残っていないカードに関しても、カード会社が途上与信やカード更新の際に個人信用情報機関の信用情報を照会した段階で解約されて使えなくなるので要注意です。
途上与信がいつ行われるかはカード会社によって違いがあり、頻繁にチェックされない事もあります。
自己破産するとどれくらいの期間クレジットカードやローンの審査に通らなくなる?
自己破産をして免責となった場合、免責が確定した日が完済日となります。完済情報の保有期間はCICとJICCが5年間、KSCは10年間です。
完済情報が消えるまではクレジットカードの審査に通らなくなるので注意しましょう。
自己破産後に早く審査通過するコツとは?
CICかJICCに加盟しているカード会社を選ぶ
自己破産後、スピーディーに審査通過するにはいくつかのコツがあります。前述の通り、KSCの信用情報を基に審査を行う会社では10年間クレジットカードを作ったり、ローンの審査通過が難しくなりますが、CICとJICCの信用情報を照会する会社なら自己破産後5年が経過すれば新たなカードを作ったりローン審査に通る可能性があるのです。
交流ネットワークのCRINで共有されている情報に自己破産に関する情報は含まれていないので、KSC以外に加盟している会社を選ぶ必要があります。どの個人信用情報機関にどんな会社が加盟しているかは、各個人信用情報機関の公式サイトから確認する事が可能です。
例えばアメックスや銀行系のカードの場合はKSCに加盟しているので、自己破産後10年間はカードが作れない事になります。
家族カードやデビットカード・プリペイドカードなら自己破産してすぐでも作れる
クレジットカードで追加発行できる家族カードなら、カードを持っている本会員に対しての審査しか行われず、デビットカードやプリペイドカードなら審査そのものがないので自己破産を行ってすぐでも作る事ができます。
ただし、家族カードやデビットカード・プリペイドカードの利用では信用情報は記録されないのでクレヒスを積む事はできません。
自己破産の債権者以外のカードやローンを申し込む
個人信用情報機関に記録される信用情報とは別に、俗にいう「社内ブラック」として自己破産の際の事故記録が残っている事があるので、自己破産をした際の債権者以外のカードやローンを申し込むのが鉄則です。
間違っても債権者が発行しているカードやローンを申し込むのはやめましょう。
審査難易度の低いカードを申し込む
メガバンクなど銀行系のクレジットカードは審査基準が高く設定されているのが一般的ですが、規模が小さい金融業系カードの中には審査難易度が低めのものも存在しています。自己破産後に新たなクレジットカードを作るなら審査難易度が低いカードの方が良いでしょう。
短期間に複数のカードを申し込まない
申し込みブラックになるのを避けるために、短期間に複数のカードを申し込むのはやめた方が無難です。
申し込みブラックとはカードの入会特典や現金化、複数社からの借り入れを防ぐために申し込みに制限をかける事で、申し込みブラックになると6か月間はカードが作りづらい状態になってしまいます。このため、1か月に申し込むカードの枚数は3枚までにとどめましょう。
クレジットカードやカードローンの審査通過率をアップさせるポイント
クレジットカードの申し込み前に信用情報の開示請求を行う
自己破産を行って免責が確定しても、裁判所からカード会社に対して通知が届かない事があります。この場合、カード会社は免責となった事を知らないので借入残高が残ったまま記録されているというケースがあるため要注意です。
自分の信用情報は個人信用情報機関に開示請求を行う事ができるので、カードやローンを申し込む前には開示請求を行って、完全に自己破産の記録が消えている事を確認しておきましょう。
クレヒス修行をしてから申し込む
自己破産から5年間(KSCの場合は10年間)が経過すると、クレヒスが残っていない「ホワイト」という状態になります。ホワイトだと新たにクレジットカードやローンを申し込んでも審査基準となり得る情報が残っていないため審査通過が厳しくなるのが一般的です。
審査通過率をアップさせるために、まずは携帯電話の分割販売を利用してクレヒス修行をするという方法があります。割賦契約はクレヒスとして記録されるので、毎月きちんと支払いをしていれば良いクレヒスを積む事が可能です。
クレヒス修行でトラブルを起こすと元も子もないので、くれぐれも延滞しないように気を付けましょう。