住宅ローン審査では、クレジットカードの延滞履歴、キャッシング枠の有無、リボ払いの残高、所有枚数などが重要な判断材料となります。
特に支払い遅延やリボ払いの利用が多いと返済負担が大きいと判断され、審査が厳しくなる可能性があります。
本記事では、住宅ローン審査に影響するクレジットカードのポイントや、審査通過のための改善策、信用情報の確認方法を解説します。事前にクレジットカードの利用状況を見直し、スムーズな審査通過を目指しましょう!
目次
住宅ローン審査で見られるクレジットカードの利用状況
クレジットカードの利用状況によっては、住宅ローン審査に影響する場合があります。ここでは4つの可能性を紹介します。
クレジットカードの利用履歴に延滞や滞納がある
クレジットカードの支払い履歴に延滞や滞納があると、住宅ローン審査に大きな悪影響を与えます。
金融機関はクレジットカードの支払い履歴を「返済能力の指標」として評価しているため、過去に支払いの遅延があった場合、「この人は住宅ローンの返済を滞らせる可能性がある」と判断される可能性があります。
ブラックリスト入りに要注意
そのほか、短期間に複数回の延滞を繰り返している場合も、金融機関は「返済管理ができていない」と判断するため、たとえ異動情報になっていなくても住宅ローン審査に悪影響を及ぼします。
住宅ローンを申し込む前に少なくとも1年間はクレジットカードの支払いを一度も遅延しないようにし、信用情報を回復させることが重要です。
キャッシング枠がある
クレジットカードには、ショッピング利用枠とは別に「キャッシング枠」が設定されている場合があります。
このキャッシング枠は、実際に借り入れをしていなくても、金融機関からは「いつでも借りられる潜在的な借金」と見なされるため、住宅ローン審査の際にはマイナス評価につながることがあります。
キャッシング枠が大きい場合は注意
また、すでにキャッシングを利用している場合は、その残高をできるだけ早く返済し、借入を減らすことが重要です。
キャッシングの利用履歴が多いと「日常的に借金をしている」と見なされ、住宅ローン審査が不利になるため注意が必要です。
リボ払い・分割払いの残高がある
リボ払いや分割払いは、一度に大きな負担を感じることなく買い物ができる便利な支払い方法ですが、その残高が多いと住宅ローン審査で不利に働きます。
リボ払いは支払いが長期化しやすく、利息の負担が大きくなるため、金融機関から「すでに借入の負担が大きい」と判断される可能性があります。
リボ払いの残高が影響する
住宅ローンを申し込む前には、できるだけリボ払いや分割払いの残高を減らし、借入負担を軽くしておくことが重要です。
クレジットカードの所有枚数の多さ
クレジットカードを多く持っていること自体は問題ではありませんが、所有枚数が多すぎると、住宅ローン審査でマイナス評価を受けることがあります。
これは、金融機関が「多くのクレジットカードを持っている=将来的に大きな借入をする可能性がある」と考えるためです。
また使っていないクレジットカードでも、利用限度額が設定されていると「潜在的な借入枠」として計算されることがあります。
キャッシング枠が大きい場合は注意
住宅ローンを申し込む前には、長期間利用していないクレジットカードを解約し、所有枚数を適正な範囲に整理することが望ましいです。
ただし長期間利用しているクレジットカードを解約すると、クレジットヒストリー(信用履歴)が短くなる可能性があるため、慎重に検討することが重要です。
住宅ローン審査に通るためのクレジットカード改善策
この見出しでは、住宅ローンの審査通過のためにできることと改善のためのポイントを紹介します。
延滞履歴を作らない・過去の延滞をリカバリーする
住宅ローンの審査では、クレジットカードの支払い履歴が厳しくチェックされます。
特に、61日以上の支払い遅延があると信用情報機関(CIC・JICC)に「異動情報」として登録され、最大5年間は住宅ローンの審査が非常に厳しくなります。
過去に延滞履歴がある場合、すぐに信用情報を回復させることはできませんが、少なくとも6ヶ月~1年間は支払いを正常に行うことで信用力を回復させることが可能。
また、信用情報機関で開示請求を行い、自分の信用状況を確認しておくことも重要です。
改善のためのポイント
- 毎月のクレジットカードの引き落とし日を事前に確認し、口座の残高不足を防ぐ
- 携帯電話の分割払いも信用情報に記録されるため、滞納しないように注意する
- もし延滞履歴がある場合は、延滞を解消してから6ヶ月~1年間は新たなローンの申し込みを控える
- 信用情報の開示請求(CIC・JICC)を行い、現在の信用状態を把握する
キャッシング枠を減らす・解約する
キャッシング枠は、利用していなくても住宅ローンの審査において「借入可能な金額」として計算されるため、審査に悪影響を与えることがあります。
特に、キャッシング枠が大きいと「この人は急に多額の借入をする可能性がある」と判断されることがあり、借入リスクが高いと見なされることがあります。
住宅ローン審査をスムーズに進めるためには、キャッシング枠を減らす、またはゼロに設定することをおすすめします。
改善のためのポイント
- 住宅ローン審査前に、クレジットカード会社に連絡してキャッシング枠をゼロにする
- すでにキャッシングを利用している場合は、可能な限り繰り上げ返済して完済する
- 必要のないクレジットカードは解約し、キャッシング枠を減らす
リボ払い・分割払いをできるだけ減らす
リボ払いや分割払いの残高が多いと、「すでに返済負担が大きい」と見なされ、住宅ローン審査に悪影響を及ぼします。
リボ払いは特に注意が必要で、月々の支払い額は一定でも元金が減りにくく、長期間にわたって借入状態が続くため、金融機関から「返済能力が低い」と判断される可能性があります。
住宅ローンの審査前には、できる限りリボ払いや分割払いの残高を減らし、借入リスクを低減することが大切です。
改善のためのポイント
- リボ払いを利用している場合は、一括返済や繰り上げ返済を検討する
- クレジットカードの支払い方法を「1回払い」に設定し、リボ払いを利用しないようにする
- 分割払いの残高を減らし、ローン審査前にはできる限り完済する
- 家計を見直し、毎月の支出をコントロールして借入に頼らない生活を目指す
不要なクレジットカードを解約する
クレジットカードを多く持っていると、金融機関は「この人は将来的に多額の借入をする可能性がある」と判断することがあります。
特に利用していないカードでも、信用情報には「潜在的な借入枠」として記録されるため、審査の際に不利になることがあります。
ただし長年使っているクレジットカードを解約すると、クレジットヒストリー(信用履歴)が短くなるため、信用スコアが低下する可能性があるため注意が必要です。
改善のためのポイント
- 使っていないクレジットカードは、住宅ローン審査前に解約する
- 年会費がかかるカードや、キャッシング枠のあるカードを優先的に整理する
- メインで利用しているクレジットカードは残し、信用履歴を維持する
- 解約する際はカード会社に連絡し「解約証明書」を発行してもらい、住宅ローン審査時に証明できるようにする
住宅ローン審査前に信用情報を確認する方法
住宅ローン審査では、クレジットカードやローンの利用履歴が記録された信用情報がチェックされます。
審査に通るためには、自分の信用情報に問題がないか事前に確認しておくことが重要です。ここでは、信用情報の確認方法を解説します。
信用情報機関とは?
日本には、主に3つの信用情報機関があり、それぞれ異なる情報を管理しています。住宅ローン審査では金融機関がこれらの機関から信用情報を取得し、審査を行います。
- CIC(シー・アイ・シー)
- JICC(日本信用情報機構)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
① CIC(シー・アイ・シー)
クレジットカード会社や信販会社、消費者金融が加盟する信用情報機関。主にクレジットカードの利用履歴や携帯電話の分割払い履歴が登録される。
② JICC(日本信用情報機構)
消費者金融やカードローン会社が加盟する信用情報機関。クレジットカードの情報も登録されているが、特に消費者金融のローン情報が多い。
③ KSC(全国銀行個人信用情報センター)
銀行が加盟する信用情報機関。住宅ローンや自動車ローン、カードローンなどの情報が登録される。金融事故(自己破産・債務整理など)の記録もここに残る。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)
▼CICの開示に関連する情報
開示方法 | インターネット・郵送 |
---|---|
手数料 | インターネット1,000円 / 郵送1,000円 |
手数料の支払い方法 | クレジットカード、PayPay、楽天ペイ、キャリア決済 |
必要なもの | 運転免許証、マイナンバーカードなど本人確認書類 |
CICはインターネットもしくは郵送で開示を申し込めますが、手元のスマホで操作が完結することを考えるとインターネット開示がおすすめ。
申し込みから開示情報の表示までのスピードが早く、クレジットカード決済だけでなく、PayPayや楽天ペイの支払い方法に対応しているのも便利です。
▼CICで開示する流れ
- 受付番号の取得
- 認証コードの取得(PayPay、楽天ペイ、キャリア決済の場合)
- お客様情報の入力
- 利用手数料の決済
- 開示情報の表示
クレジット契約で利用している電話番号から指定の電話番号にかけ、受付番号を取得。取得した受付番号は1時間有効です。
取得した受付番号と受付番号を取得した電話番号を入力。電話番号にSMSで認証コードが送信され、取得した認証コードは受付番号取得時から60分間有効。
必要事項を入力、PayPay、楽天ペイ、キャリア決済の場合は、取得した認証コードも入力してください。
カード決済の場合:自動的に決済が終了
PayPay、楽天ペイ、キャリア決済の場合:各決済手段の画面で決済
ダウンロードボタンが表示されたら5分以内に開示報告書をダウンロード。
CICでは、クレジットカードのショッピング履歴・キャッシング履歴・延滞記録・異動情報などが確認できます。
過去の支払い遅延がある場合はその履歴が5年間残るため、事前にチェックしておくことが大切です。
JICC(日本信用情報機構)
開示方法 | スマホアプリ |
---|---|
手数料 | スマホ1,000円 / 郵送1,300円 (開示結果の受け取り方法によって異なる) |
手数料の支払い方法 | クレジットカード、コンビニ、ATM、ネットバンキング、キャリア決済 |
必要なもの | 運転免許証、マイナンバーカードなど本人確認書類 |
スマホアプリと郵送で申し込めますが、手元で申し込みが完結するスマホアプリから申し込むのがおすすめです。
▼JICCで開示する流れ
- JICC専用スマホアプリをダウンロード
- 本人認証
- お客様情報の入力
- 手数料の支払い
- 開示結果の受取り
クレジットカードと電話による認証、もしくはマイナンバーカードによる認証を行います。
氏名や生年月日等を入力。
支払手段をクレジットカード、コンビニ等のオンライン収納代行、携帯キャリア決済から行います。
スマホアプリまたは郵送で受け取れますが、郵送の場合時間がかかるためスマホアプリ内で受け取るのがおすすめです。
JICCでは、クレジットカードのキャッシング履歴や消費者金融・カードローンの借入残高、過去の債務整理記録などが確認できます。
過去に消費者金融を利用したことがある人や、債務整理を経験した人はJICCの情報をチェックしておくと安心です。
KSC(全国銀行個人信用情報センター)
開示方法 | インターネット、郵送 |
---|---|
手数料 | 1,000円 |
手数料の支払い方法 | クレジットカード、PayPay、キャリア決済 |
必要なもの | マイナンバーカードなど本人確認書類 |
インターネットから申込み後、最短3営業日~5営業日ほどで開示できます。
▼KSCで開示する流れ
- メールアドレスの登録
- 申込情報の入力
- 本人確認
- 手数料の支払い
- 開示報告書ダウンロード
開示手続に利用するメールアドレスを登録。手続の途中でアドレスは変更はできません。
名前や住所、電話番号など、開示の申込みに必要な情報を入力。(SMS認証を行います)入力する情報は、お持ちのマイナンバーカードの電子証明書の内容と一致している必要があります。
公的個人認証(NFC(近距離無線機能)を搭載したスマートフォンのほか、専用アプリのインストールが必要)により、オンラインでの本人確認を行います。
メールで届くURLから決済サイトにアクセスし、手数料を支払います。クレジットカード・デビットカード(VISA/Mastercard/JCB/Amex/Diners)、PayPay、キャリア決済が利用可能。
メールで届くURLからダウンロードサイトにアクセスし、開示報告書を取得します(電話番号でのSMS認証を行います)。開示報告書はURLの案内を受信してから10日(土日祝日を含む)以内にダウンロードします。
KSCでは、住宅ローン・自動車ローン・銀行系カードローンの利用状況、過去の金融事故(自己破産・債務整理)などが確認できます。
自己破産の履歴は最長10年間記録されるため、住宅ローンを申し込む前に情報を確認し、必要であれば申し込み時期を調整することが重要です。
信用情報を確認するときのポイント
住宅ローン審査前に信用情報を確認する際は、単に情報を取得するだけでなく、以下のポイントをしっかりチェックすることが重要です。
過去5年間に延滞履歴がないか
信用情報には、クレジットカードやローンの支払い履歴が記録されています。
特に61日以上の長期延滞があると「異動情報」として登録され、審査に大きく影響します。異動情報は最長5年間残るため過去の支払い状況を確認し、延滞が記録されていないかをチェックしましょう。
クレジットカードのリボ払いや借入額が多すぎないか
リボ払いの残高やカードローンの借入額が多いと、すでに返済負担が大きいと判断され、住宅ローン審査で不利になることがあります。
信用情報を開示した際には現在の借入額を確認し、できるだけ繰り上げ返済して負担を減らしておくことが重要です。
スマートフォンの分割払いの滞納がないか
意外と見落としがちなのが、スマートフォンの端末代金の分割払いです。
携帯電話料金の未払いだけでなく、分割払いの滞納も信用情報に記録され、審査に影響を与えることがあります。
過去に滞納がないかを確認し、もし未払いがある場合は早めに清算しておきましょう。
短期間に複数のローンを申し込んでいないか
信用情報には、過去6ヶ月間に申し込んだクレジットカードやローンの履歴(申し込み情報)が記録されます。
短期間に複数のローンを申し込んでいると「資金繰りが厳しいのでは?」と判断され、住宅ローン審査が厳しくなる可能性があります。審査前は、むやみに新規のクレジットカードやローンを申し込まないようにしましょう。
過去に債務整理や自己破産をしていないか
債務整理や自己破産を行った場合、その記録は信用情報機関に一定期間(最長10年)残ります。
この間は住宅ローン審査に通過するのが非常に難しくなるため、債務整理後に信用情報がクリアになっているかを確認し、住宅ローンの申し込み時期を慎重に判断しましょう。
信用情報を確認することで、自分の信用状況を正しく把握し、住宅ローン審査に向けた適切な対策を取ることができます。もし信用情報に問題がある場合は、できるだけ早めに改善し、審査に備えましょう。
まとめ!クレジットカードの管理が住宅ローン審査を左右する
住宅ローン審査では、申込者の年収や勤務状況だけでなく、クレジットカードの利用状況も重要な判断基準となります。
延滞履歴・キャッシング枠・リボ払いの残高・所有カードの枚数などは、審査結果に大きな影響を与えるため注意が必要です。
住宅ローンの審査をスムーズに進めるためには、クレジットカードの支払いを遅れずに行い、不要な借入やカードを整理することが大切です。
キャッシング枠はゼロに設定し、リボ払いや分割払いの残高はできるだけ減らしておくことで、審査における信用力を高めることができます。
心配な場合は、事前に信用情報機関(CIC・JICC・KSC)で自分の信用情報を開示し、問題がないか確認することも重要です。
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